「取引システム高速化とティックサイズの制約」太田亘を読む

現代ファイナンスNo38 2016年9月号掲載の「取引システム高速化とティックサイズの制約」太田亘が中々面白そうなので読んでみることにした。

 

しかし何分自分の能力では正確に多くの事が理解しえないので取り合えず羅列的に目についたところを上げていくことにする。

 

主題は東京証券取引所の「取引システムの高速化により流動性がどのように変化する」かである。

 

代表的な指標は

  1. 実効スプレッド:在庫回転による収入の指標
  2. 逆選択コスト:情報投資家と取引可能性があることにより発生する評価損の指標
  3. 実現スプレッド:利潤等を反映する指標?

 

  • Jovanovic/Menkveld[2011], Hoffmann[2014]:逆選択コストは低下するという理論モデルを提示
  • Biais/Woolley[2011]:流動性供給の寡占化が進行し、実現スプレッドは上昇すると理論的に主張
  • その他実証研究によって、外国市場に置いてはそれらが観察されると報告されている。

一方、東証ではどうかというと高速化の実施後、

  • 逆選択コストは上昇
  • 実現スプレッドは低下

と逆の現象が観察されているという。これは不思議。ということで、この論文はこの謎に迫るというのが主な関心らしい。

 

これらの原因として

  1. 制約仮説
  2. 学習仮説

を検証。それぞれの仮説がどういうものかは長いので本文参照。